日本税理士会連合会は、2016107日、AOTCA香港会議の開催に合わせて、インドネシア税理士会及び同国国税総局との懇談会を香港で開催した。これは、来年4月に日税連がインドネシアを訪問し、友好協定の締結及び税理士制度に関するセミナーの開催を目的に行われたもの。

 懇談会には、神津会長、友利副会長、和田専務理事、長谷部国際部長、伏見国際税務情報研究会委員が出席したほか、インドネシア税理士会からノノ最高顧問、ラストン国際部長等が、インドネシア国税総局から幹部3人が出席した。

 冒頭、インドネシア国税総局代表より、20164月に日税連と沖縄税理士会等を訪問した際、日本の税理士制度について①税理士法等の法整備が十分に行われていること、②税理士会と国税庁との良好な関係が構築されていること、③税理士が納税者のコンプライアンス向上に貢献していることを学び、非常に感銘を受けたとの挨拶があった。また、インドネシアには、税務専門家を管理するのは大臣規則であり、職業法としての税理士法が存在しない。日本の税理士数は76,000人に対し、インドネシア税理士はまだ3,300人程度であり、税理士の量と質の両面を充実させていく必要があると説明があった。

次いで、インドネシア税理士会のラストン国際部長は、具体的な日税連からの支援策として、法整備及び組織運営に関するアドバイス、定期的なセミナー開催(税理士制度、国際課税、投資優遇税制等)を求めた。

これに対し、神津会長は、日本に税理士制度が誕生した1942年の時点では、税理士数はまだ1,600人程度であった。当時の日本でも量と質の充実が必要との観点から、国税職員OBや弁護士・会計士に税理士資格を与えて人数の増加を図りながら、国税当局と協力して税理士の職業専門家としての地位向上にも努め、現在のような体制となった。また、税理士制度は70余年という長い歴史を持ち、絶え間なく発展してきたが、同時に様々な苦難も経験してきた。このように発展の経緯だけではなく、苦難の歴史についても4月の訪問の際に紹介したいと述べた。

最後に、ラストン部長より、セミナーでは納税者の視点に立った税理士の独立性がいかに重要であるかを強調してほしいとの要請が追加され、長谷部部長から日本の税理士が独立性を構築するためにどのように努力してきたかについても紹介したいと返答した。